夜行バス運転手の待遇とは

軽井沢で起きたバスの転落事故を受けて、同様の貸し切り夜行バスの運転手たちは、「十分な休憩がとれない」「低賃金」など過酷な労働環境の改善を求めている。その一方、過当競争状態のバス業界は会社経営が厳しく、運転手の待遇が改善されるめどはたたないまま。
20日午前0時半、埼玉県東松山市の関越道高坂サービスエリアは、大型車用の駐車場が休憩するバスなどで、100台ほどのスペースが埋まる。
事故のあったツアーバスと同じく、東京から長野県に向かうバスの男性運転手(63)は「仮眠できるけど、疲れはとれないね」と、コメントしたという。次の運転までの仮眠時間は8時間確保となっているが、昼夜逆転状態のため、仮眠スペースでは熟睡できないことも多いそうだ。結果帰り道はいつも、睡魔との闘いになる。
また、別のバス運転手(54)は「20年やってるが、競争が激しく運賃が相当下がった。しわ寄せは運転手さ」と話した。
長野県のバス会社の運転手(62)は「一定規模以上の会社なら運転手は制服を着ているが、高坂SAでは10年くらい前から私服姿をよく見かける」と話した。彼の勤める会社は中堅であるという。
バス業界は2000年ごろの規制緩和に伴い、免許制から事業許可制になったという。国土交通省などによれば、1999年度に2336社だった貸し切りバスの事業者数は2011年度に4533社へ倍増した。しかし、この間の年間輸送人員は2億5161万人から2億9605万人と1.2倍にしか増えていないという。民間バス運転手の所得は、かつて全産業平均より上であったが2012年は平均を90万円ほど下回る約440万円まで下がった。運転手の高齢化も深刻な問題で、2012年段階で6人に1人が60歳以上という現状だ。
交通政策に詳しい名古屋大大学院准教授、加藤博和氏は「待遇が悪いと若いドライバーが確保できない。不規則な生活から、どうしても健康問題が生じる。運行管理者がチェックを強化し、社として安全運行への投資も増やすべきだ」と指摘する。
大きな事件が起きてから、こういった問題が表にでてくるのは良くない。なにごとも万全の対策が必要だ。